日本でも年々出生率が下がっていますが、韓国の出生率低下は日本より更に深刻です。今日は韓国の出生率と、その理由についてお伝えします。
韓国の出生率は過去最低を記録
8月26日に、2020年1~6月の韓国の出生率が発表されました。4月から6月の出生率は一人あたり0.84と過去最低の記録を更新しました。0.84がどれだけ低い数字かというと、出生率の低下が叫ばれる日本でも1.36(2019年)あり、韓国の0.84という数字は全世界のなかでも最下位です。1を下回っている国は全世界でみても韓国だけであり、国家存続の危機となります。
ワーキングママを巡る韓国での問題
韓国の出生率の低さは、子供を持つ女性の働きにくさにあるのではないかと思っています。日本では、子どもを産みながら働くということが一般的になり、妊娠したからといって会社から辞めるように言われることはよほど小さい会社以外は無くなりました。マタハラという言葉も浸透し、妊娠中の働く女性の権利も守られるようになってきています。
一方、韓国では働く女性が妊娠すると、会社側から退職を勧められることが現在でも一定数あります。また、産休や育休を取ることで、職場復帰したあとのキャリアステップが虐げられ妊娠前と同じ仕事を与えられず、退職を勧められるケースがあります。
現在韓国で話題の事件
最近韓国で話題になっている事件があります。韓国の医療用化学品会社で働く女性が、育児休暇から復帰後、会社から退職勧告を出されました。その女性は会社側との全ての会話をボイスレコーダーで録音しており、ニュースでも実際の音声が流れました。
復職後の退職勧告はなぜなのかを会社に問い、「なんでもやります、どんな仕事でもやるので」と言ったのにも関わらず会社側からは「産休を取る前に辞めろって言ってもきっと辞めなかったでしょ」とだけ言われ、そのことを直属の上司に相談すると「俺は関係ないから。勝手にやって」と突き放されました。
上司に相談したあとすぐに、会社側からクビの通知書が届き、クビにする理由としては「業務ができていない、他の社員とのコミュニケーションが取れない」など事実無根の内容が書かれていました。その内容について女性は副社長と直接コンタクトし、なぜなのか聞きましたが「内容は別に関係ないよ、ただ適当に書いただけ。とりあえず辞めてほしい」という旨を言われました。
このような事件は表に出ないだけで、実際には多くの働く女性が妊娠することでキャリアをあきらめるケースがあるのではないでしょうか。
実際に韓国人女性の知人は、韓国で銀行員として順調にキャリアを積んできましたが、妊娠をきっかけに職場を離れることをとても悩み苦しんでいました。育休を取ったあと会社に戻っても同じ仕事ができないからです。そこまで積んできたキャリアが一気に崩され、希望していない部署に回されることが多いのです。
こういった現状があり、韓国の働く女性は子供を産むことを躊躇してしまうのではないかと考えます。学生時代からとても厳しい受験環境を勝ち抜き、やっとの思いで就職し、男性社会の中で働いてきた女性にとって、そのキャリアを失ってまで子供を持ちたくないと考える女性も多いのでしょう。
韓国政府の対策
出生率の低さに危機感を抱いた韓国政府は、妊娠中や出産後の女性をサポートするための家事サービスなど各種対策を発表していますが、韓国国民からは「それだけでは出生率はあがらない」と厳しい声が上がっています。
子どもをもつ女性が働きやすい環境を整えなければ出生率の改善は難しいかと思いますが、今後の韓国政府の取り組みに期待します。
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